月経(生理)時にレバーのような血の塊の出血があると、「子宮の病気のせい?」「妊娠による出血かもしれない」など不安になってしまいますよね。ここでは、月経時に排出される血の塊の原因や対策について解説します。
このページの監修医師
上野駅前婦人科クリニック 院長
杉浦由紀子
2011年東海大学医学部医学科卒業。日本産科婦人科学会専門医として、都立病院の産婦人科やレディースクリニックの経験を経て、2023年6月16日に上野駅前婦人科クリニックを新規開院。
目次
「生理でレバーみたいな血の塊が出た」その原因
月経時の血の塊は、経血量が多いことが原因です。血の塊の正体は、サラサラになりきらなかった子宮内膜の組織で、凝血塊(ぎょうけっかい)といわれます。凝血塊も経血の一種であり、月経2~3日目などにたまに混じる程度であれば、大きな心配は不要です。
経血量が多いと、経血をサラサラにするための「プラスミン」というタンパク質分解酵素が、血液を凝固させる働きを持つタンパク質「フィブリン」を破壊しきれません。そのため、いつものようなサラサラにとした経血でなく、ドロっとした血の塊が排出されます。
凝血塊が大量に何日も出る場合は、経血量が多い「月経過多」の可能性があります。月経過多の原因には、病気やホルモンバランスの崩れなどが挙げられます。代表的な病気については、次の項目をご確認ください。
生理時に血の塊が出る病気5つと受診タイミングについて
- 1.子宮筋腫
- 2.子宮腺筋症
- 3.子宮内膜ポリープ
- 4.子宮内膜症
- 5.女性ホルモンの分泌異常
月経時に血の塊が大量に排出される原因は、ほとんどが経血の量が多い、つまり「月経過多」によるものです。くわしく見ていきましょう。
1.子宮筋腫
子宮筋腫とは、子宮の壁に発生する良性の腫瘍です。30歳以上の女性の約4人に1人にできるといわれており、原因ははっきりと分かっていません。腫瘍があると、月経時に剥がれ落ちる子宮内膜組織の量が増えて月経過多になり、血の塊が発生しやすくなります。
2.子宮腺筋症
子宮腺筋症とは、子宮内膜に似た組織が子宮の筋層内にできる病気です。月経時に、子宮の筋層内でも出血が起きるため、月経量が増加するほか、強い月経痛をともなうケースも少なくありません。
3.子宮内膜ポリープ
子宮内膜ポリープとは、子宮内膜の細胞が異常増殖を起こして、子宮内腔に腫瘍(ポリープ)ができる病気です。1cm未満のものでも月経過多を引き起こすほか、子宮体がんの前がん病変(がんになる手前の状態)の可能性もあります。
4.子宮内膜症
子宮内膜症とは、子宮内膜に似た組織が子宮の外側で増殖、剥離を繰り返す病気です。子宮が固く、肥大していくため、経血量が増えてレバーのような血の塊が多く出現します。月経を迎える度に痛みが強まり、経血量も増えていく点が特徴です。
5.女性ホルモンの分泌異常
女性の身体の周期は、体内で分泌されるホルモンによってコントロールされています。そのため、ホルモン分泌の異常が発生すると経血量が増加し、血の塊が発生しやすくなります。主に、10~20代などの月経歴の短い年齢や、閉経期の近い更年期に起こりやすいとされています。
異変が3カ月以上続く場合は婦人科へ
いつもと違う月経症状が起こった場合でも、1回程度であれば一時的なホルモンバランスの崩れが原因であるケースがほとんどです。そのため、目安として3カ月以上同じような症状が続く、もしくは症状が月経ごとに強まっている場合は、クリニックの受診を検討しましょう。
症状の出現から3カ月経っていなくても、日常生活に支障があるほどの痛みや貧血、だるさ、眠気がある場合は、早めに婦人科にご相談ください。
生理のような血の塊が出たら妊娠の可能性はある?
妊娠超初期(およそ0~4週)に起こる出血を「着床出血」といいます。発生タイミングが通常の月経周期と近いため見極めが難しいですが、着床出血は通常の月経と異なり、サラサラとした真っ赤な鮮血や、少量の茶色い出血であることがほとんどです。そのため、血の塊がある出血は、多くが着床出血でなく月経と考えられます。
ただし、着床出血には個人差があります。妊娠しているかどうかは出血で判断せず、正しいタイミングを待って妊娠検査薬などで確認しましょう。
上野駅前婦人科クリニックの取り組み
上野駅前婦人科クリニックでは、産科婦人科専門医が幅広い年齢層の女性のお悩みに対応した丁寧な診察・治療を行っています。月経時の血の塊の主な原因である月経過多には子宮の病気が隠れている可能性もあります。ご不安な点がある方は、早めに当クリニックにご来院ください。
当クリニックでは、婦人科検診はもちろん、(PMS)生理前症候群・月経トラブルの改善やピル処方、ミレーナのご相談を承っています。ぜひかかりつけ医としてご利用ください。
生理のよくあるご質問
- 更年期になり生理時に血の塊が増えました。何か病気でしょうか?
- A.更年期に入ると卵巣機能が低下し、ホルモンバランスが大きく変化します。これにより、月経不順や経血量の増加による血の塊が増えるケースが多くあります。更年期特有の症状の一つですが、異常な出血や痛み、そのほかの症状がある場合は、医師に相談しましょう。
- 生理2日目だけ血の塊が出ますが、放置していても大丈夫でしょうか?
- A.月経時の血の塊は、経血量の多さが原因です。そのため、経血量が増える月経2〜3日目の血の塊は、通常の月経の範囲内であることが多く、病気や異常がある可能性は低いといえます。ただし、月経を繰り返すごとに痛みや血の塊の量が増えているようであれば、婦人科の受診を検討しましょう。
- 生理の血の塊が多い気がするのですが、どれくらいが標準ですか?
- A.経血量が多い月経2〜3日目だけでなく、初めから終わりまでずっと血の塊が出続けている場合は受診が必要です。また、日中でも夜用ナプキンやショーツ型ナプキンでないと経血がすぐに漏れてしまったり、月経痛が強く出ていたりする場合も早めにクリニックを受診してください。
- 生理で血の塊が出ると妊娠しにくいのですか?
- A.月経時にドロッとレバー状の血の塊が出ると、身体に異常があるのかと心配になってしまいますよね。一概に「血の塊が出る」=「妊娠しにくい」とは言えませんが、血の塊が何らかの病気のサインであり、その病気が原因で妊娠しにくい可能性はあります。心配なことがあれば、念のため婦人科で検査を受けましょう。
- 生理時に血の塊が毎回出る場合は病気ですか?
- A.毎回の月経、そして月経期間中ずっと血の塊が出る場合は、過多月経の可能性があります。「ナプキンを交換する度に血の塊がある」「昼間も夜用ナプキンを使わないと、経血が漏れてしまう」など、血の塊の量や回数が多い場合は、一度検査をおすすめします。当クリニックでも検査ができますので、お気軽にご相談ください。
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