月経困難症 Dysmenorrhea

【辛い生理痛】月経困難症の種類と治療方法|上野駅前婦人科クリニック

「辛い生理痛」は月経困難症かも?

【月経困難症の種類】機能性月經困難症:痛みやだるさ、 集中力の低下などの症状が月経時に起きる。器質性月經困難症:子宮内膜症や子宮腺筋症など何らかの原因疾患により起きる。

毎月のようにある生理痛にお悩みの方は、月経困難症かもしれません。月経困難症は、医学的には「日常生活に支障をきたすレベルの生理痛」と定義されていますが、症状の度合いは個人差があるため、「生理がつらい人すべて」が月経困難症である可能性があります。

月経困難症は、生理痛のほかに吐き気や腰痛、頭痛、さらにはイライラしたり落ち込んだりする精神症状まで、心身ともにさまざまな不調を引き起こしますが、場合によっては何らかの病気が原因になっている恐れもあります。

月経困難症の具体的な症状や原因について、改善方法や治療方法などと合わせて知っておくことは、ご自身の身を守るためにもとても大切です。

このページの監修医師

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上野駅前婦人科クリニック 院長 
杉浦由紀子

2011年東海大学医学部医学科卒業。日本産科婦人科学会専門医として、都立病院の産婦人科やレディースクリニックの経験を経て、2023年6月16日に上野駅前婦人科クリニックを新規開院。

目次

腹痛以外にもある、生理痛の辛い症状一覧

下腹部痛・腰痛

下腹部痛・腰痛 生理中は、はがれ落ちた子宮内膜を血液と一緒に体外へ排出するため(経血)、子宮収縮作用を持つ「プロスタグランジン」が分泌されます。このホルモンは痛み、腫れ、熱発を誘発するため、子宮や子宮周辺の腰への痛みを引き起こします。

吐き気

吐き気 月経中に感じる吐き気は、下腹部痛・腰痛と同じくプロスタグランジンの分泌によるものです。プロスタグランジンは胃や腸管を収縮させる作用もあるため、月経中にプロスタグランジンが過剰に分泌されると、胃のムカつきや吐き気となって現れます。

頭痛

「月経関連片頭痛」とも呼ばれる月経中の頭痛は、女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)が急激に低下することで、起きやすくなると考えられています。一般的な偏頭痛よりも痛みが強く、長く続く傾向があります。

イライラや気分の落ち込み

月経前や月経中の気分障害(イライラ/気分の落ち込み)は、エストロゲン(卵胞ホルモン)の低下が関係しています。エストロゲンは月経~排卵の間(卵胞期)に増加しますが、排卵期の前後から急激に減少します。

エストロゲンには代謝アップや精神状態の安定化といった作用があるため、これが減ることにより、些細なことにいらだったり、悲しくなったりしてしまうことがあります。

貧血

月経期間中は、「鉄欠乏性貧血」になりやすくなっています。経血により体内の鉄分が不足して赤血球を作れなくなると、十分な酸素が血液中を巡らず、貧血をはじめとする体調不良を引き起こしやすくなります。

眠気・だるさ

黄体期(高温期)に増加するプロゲステロン(黄体ホルモン)には、妊娠しやすくするため基礎体温を上げ、身体を休ませようとする作用があるため、眠気やだるさを感じることがあります。また急増したプロゲステロンが分解され、「アロプロゲステロン」を分泌すると、睡眠薬と同等といわれるほどの強烈な眠気を感じる方もいらっしゃいます。

病気が原因かも?月経困難症の種類

月経困難症は、原因となる疾患(子宮内膜症、卵巣嚢腫、骨盤癒着ほか)がない「機能性月経困難症」と、子宮や卵巣、骨盤などになんらかの原因疾患がある「器質性月経困難症」の2種類があります。

機能性月経困難症(きのうせいげっけいこんなんしょう)

月経時に痛みやだるさ、集中力の低下などの症状があるものの、特に原因となる疾患(子宮内膜症、卵巣嚢腫、骨盤癒着ほか)がないものを、機能性月経困難症と呼びます。月経困難症を訴える方の4割以上がこちらに該当するともいわれています。

初経から半年~1年後から機能性月経困難症となる方が多くいらっしゃいます。

器質性月経困難症(きしつせいげっけいこんなんしょう)

子宮内膜症や子宮腺筋症、子宮筋腫など何らかの原因疾患のある月経困難症を「器質性月経困難症」と呼びます。初経後5年以上経過してから発症することが多いといわれます。

原因疾患はさまざまありますが、中でも子宮内膜症は女性の10人に1人がかかる病気として知られています。放置しておくと、不妊や卵巣がんの合併につながる恐れもあるため、寝込むほどの強い生理痛や、月経時以外にも日常生活に影響を及ぼす程の腰痛、下腹部の痛みなどを感じたら、早めに受診をしてください。

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つらい生理痛(月経困難症)を緩和する対処法

「病院に頼らず、生理痛を改善したい」とお悩みの女性のため、日頃からご自身で行える生理痛の緩和ケアをご紹介します。

身体を温める

身体が冷えて血液の循環が悪くなると、月経時の子宮収縮がさらに強まり生理痛がより強く出る恐れがあります。生理痛を和らげるためにも、特にお腹や腰周辺を温め、血行を促進しましょう。

手軽に身体全体を温める方法としては、入浴がおすすめです。身体を温めるだけでなくリラックス効果も得られるため、普段はシャワーで済ませている方も、月経期間中は湯船に入るようにしましょう。

食生活を見直す

月経中は温かいものや身体を温める効果のある食べ物はもちろん、栄養バランスのよい食事を心がけることが大切です。

鉄分を多く含むレバーや脂肪分の少ない赤身肉は、経血で失われた鉄分を補給するのに効果的です。また魚の摂取頻度が「週1回以上」である産後の女性は、中等度以上の月経痛を有するリスクが低くなる傾向があるとの研究結果も発表されています。ホウレンソウや緑黄色野菜はビタミンをバランスよく摂取できますし、気分を安定させる海藻や大豆食品も、積極的に取り入れたい食材です。

カフェインは血管を収縮させる作用があるため、カフェインが豊富に含まれる飲み物は避けましょう。コーヒーや紅茶、緑茶、烏龍茶は生理痛を悪化させる可能性があります。ハーブティーやジンジャーティー、ホット豆乳などは、身体を温めるだけでなく風味によるリラックス効果も期待できます。

ストレッチや軽い運動

生理痛でお悩みの方は、緊張した筋肉をほぐすためにストレッチや軽い運動を取り入れることをおすすめします。

筋肉の緊張をほぐすストレッチや、息が激しく上がらない程度の軽い運動は、骨盤周りの血行不良の改善や、月経中の気分の落ち込みの発散が期待できます。また日頃から運動を続け筋肉量が増えると、身体の代謝が上昇し、冷えの改善にもつながります。

生理痛に効くツボ

一般に「ツボ」と呼ばれる経穴の指圧やマッサージは、「効果のない民間療法」と見なされることもあります。しかしツボの医学的効能は、世界保健機関WHOにも認められているのです。

ツボの中で生理痛の緩和効果が期待できるのは、以下の通りです。

合谷(ごうこく)

差し指と親指の骨が交わる少し手前にある、万能なツボと呼ばれる部位です。生理痛以外の頭痛や肩こりにも効果があります。

気海(きかい)

腰痛や生理痛の緩和、下半身の冷えの改善効果が期待できるツボ。おへそから指1.5~2本分下にあります。

照海(しょうかい)

内くるぶしの真下、少し凹んだ部分にあります。ホルモンバランスを整え、生理痛や生理不順、冷え、不眠などに効果があります。

三陰交(さんいんこう)

三陰交(さんいんこう) 内くるぶしの出っ張っている骨から、指4本分程上にあります。生理痛や生理不順、更年期障害など、婦人科系の悩みに効くツボで、冷え性やむくみにも効果があります。

ツボは息を吐きながらリラックスして、気持ちいいと感じるくらいの力加減で3回~5回程度押しましょう。強く押しすぎたり何度も押すのを繰り返したりすると、「揉み返し」と呼ばれる炎症を起こす恐れがあります。ツボをほぐすように、適度な加減でゆっくりと行ってください。

生理痛(月経困難症)を和らげる姿勢や体勢

ウォーキングやヨガで軽い運動をしたいと思っても、忙しい日常生活の中ではなかなか習慣化が難しいものです。そこで学校や会社など椅子に座っているときでも簡単にできるストレッチご紹介します。

生理痛を和らげるストレッチ①姿勢をキープしたまま深呼吸をする
  1. ①椅子に浅く腰掛け、足を組むように片方の足首を反対の膝の上に乗せます。
  2. ②息を吐きながら、背中を丸めなようにして前傾します。
  3. ③お尻~太ももが程よく伸びたら、姿勢をキープして3回深呼吸します。
  4. ④ゆっくりと姿勢を戻し、逆側も同様に伸ばします。
  5. ※身体が柔らかい方は、乗せた足の膝を下の方に手で押すと、より筋肉が伸びます。
生理痛を和らげるストレッチ②骨盤を立てる→骨盤を前に傾ける
  1. ①椅子に浅く腰掛けて、背筋を伸ばし骨盤を立てて座ります。
  2. ②息を吐きながら背中を丸め、骨盤を前に傾けます。
  3. ③息を吐ききったら1の姿勢にゆっくり戻り、5回~10回繰り返します。

薬で生理痛(月経困難症)を和らげる

食生活や日常生活を改善しても生理痛が治まらない場合は、医師が処方する薬や市販薬などを使用することをおすすめします。生理痛の治療では、主に鎮痛剤や低用量ピル、漢方、ミレーナ(避妊リング)などを使用します。

鎮痛剤

生理痛の改善に期待できる鎮痛剤は、生理痛を引き起こすプロスタグランジンの生成を抑制する効果がある、非ステロイド性抗炎症薬となります。

「ロキソプロフェン(ロキソニン)」や「アスピリン」「ブルフェン(イブプロフェン)」「アセトアミノフェン」などが代表的なものです。

また子宮の収縮を抑えるブチルスコポラミン臭化物(ブスコパン)が配合されている薬もあります。

低用量ピル

経口避妊薬である低用量ピルは、避妊だけでなく、月経量や月経回数を減らし、月経にまつわるトラブルを改善する治療薬としても使われています。初経開始後(概ね14歳以降)から内服可能で、医師の処方が必要となります。

漢方

漢方 漢方薬は、血行を促進したり、体内の水分のバランスを整えたりして、体質の改善を促します。月経困難症の場合は、体質や症状に合わせ、「桃核承気湯(とうかくじょうきとう)」「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」「加味逍遙散(かみしょうようさん)」などが処方されることが多いです。

ミレーナ

ミレーナは、避妊や月経困難症の治療などで使用する、子宮内システム(Intra Uterine System:IUS)です。「避妊リング」とも呼ばれる小さな医療具を子宮内に装着することで、黄体ホルモンを体内に放出し、ホルモンバランスを整えます。装着は医師が行い、途中で取り外さない限り最長5年間効果が持続します。

つらい生理痛は、上野駅前婦人科クリニックで改善できます

毎月のようにある生理痛を、「いつものこと」と我慢している女性が数多くいらっしゃいます。しかし、生理痛は正しい治療で改善することができます。

上野駅前婦人科クリニックでは、日本産科婦人科学会専門医が女性ならではのさまざまなお悩みに対し、親身になってお一人おひとりにあった治療を行います。

当クリニックでは生理痛も低用量ピルや鎮痛剤の処方だけでなく、ミレーナも対応可能です。「この程度のことで相談していいの?」などという心配は一切不要ですので、生理痛にお悩みの方は我慢せず、ぜひお気軽にご相談ください。

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お知らせ

  • 2024/4/18

    臨時休診は4月12日・4月29日・4月25日・5月11日です。

  • 2023/8/16

    避妊パッチ・避妊注射の取扱いを始めました。豊富な避妊方法をご用意しておりますので、お気軽にご相談ください。

  • 2023/7/12

    避妊インプラントと、中絶手術の予約を開始しました。